年末のホームセンターでダーリンは、このスマートな素焼き鉢に一目ぼれしてしまった。そしてふたつ購入した。
彼は鉢に限らず花でも木でも「ふたつ」購入する癖があるのだ。こぢんまりとしたものなら、それでもいっこうに構わないのだが、すんごく株が広がる宿根サルビアの類まで必ずふたつ購入しようとする。
だから、わたしは彼がそれらをふたつ手に取った瞬間「ひとつでええで!」と少しきつめの口調で注意しなければいけない。
ミモザを買ってきたときはなんと3株も持って帰ってきた。そのときはわたしも「まっ、いっか・・」とあきらめたのだが、ミモザは常緑高木で高さが5〜10メートルにもなる上、マメ科なので成長が大変速いことが判明して途方にくれてしまった。
ウチは公園ではない、つつましやかな一般住宅、そしてその庭はとても小さい・・。
運良く(?)二本が自らの枝葉の重さに耐え切れなくなって倒れてしまったから良かったものの恐ろしい羽目になるところだったのだ。
これを教訓にして彼は少し成長した。それまではなんでも「3つ」購入していたのだから。
さて、この鉢をふたつ手に取ったときもわたしはもちろん注意をうながした。
が、やつはこうきりかえした。「玄関にシンメトリーに置くのだ」
「うむ、それならよかろう」と購入しこんな風になったわけである。
デコラティブなものが苦手なわたしたちは、このスッキリあっさりした感じがとても気に入った。
そして、サラリーマンでありながら職人気質のダーリンは、きっとこのシルバークレストをらせん状かなんかのトピアリー風に刈り込みたくなる日がくると、わたしはにらんでいる。