ほらね。
黄色く染まったわたしの指・・・。
みかんを食べ過ぎたわけではない。
ましてや、カレールーのパッケージの「開け口」を見逃して「あらぬ方向」からめくり、悪戦苦闘の末ようやくルーを割り入れたのでもない。
そう、これは、わたしが数多のアブラムシどもをつぶした痕・・。アーチにからむツルバラ「サマースノー」を守るため、やむなく行った殺生の名残なのだ。
かつては、新芽や柔らかいつぼみに群がる彼らに「申し訳ない気持ち」を抱きながら、霧吹きの水でそっと吹き飛ばすことしかできなかったのに・・。
ツルバラが大きくなるにつれ、アブラムシの数もどんどん増えていく。
嘔吐さん(わからない方は、こちらを参照)の健闘もむなしく、ジューシーな新芽やできたてのつぼみが次々とミイラ化していくのだ。
左:まだ許せる数 右:かなり激怒する数
ついに、意を決してプチッと一匹つぶしてみる。・・が、あまり気分のよいものではない。
「これもサマースノーのため」と自分に言い聞かせ、もう一匹プチッ。
あれ、こんなとこにもプチッ。あっ、ここにもプチッ。んまぁ〜、こんなにたくさんで寄ってたかって〜!プチプチプチ。
そのうち
「おうおう。あんまり悪さが過ぎるゼ、プチッ」(金さんバージョン)とか
「おらおら。ワレ〜、ここが誰の縄張りかわかっとんかい!プチッ」(やーさんバージョン)
「ほ〜う、それでかくれたつもりかい。さぁ、これでもくらいな!プチッ」(ベラさんバージョン)
など、わたしの中をいくつものキャラが通りすぎていく。
・・・そして、いつしか訪れる静寂。
お向かいのベランダで洗濯物を干す奥さんの視線も気にならなくなり、さっきまでにぎやかなほどだった小鳥のさえずりが遠のいていく。
認識できる存在が「わたし」と「うごめくアブラムシ」そして「小さく震えるサマースノー」だけになる。
わたしは一瞬「無我の境地」に到達したのかもしれない。
殺生しながら「無我の境地」に達したなんていったら、お釈迦様はなんとおっしゃるだろうか。
伝説の「緑の指」を持たない哀れなガーデナーだもん。きっと許してくれるよね!