ついこの間まで、存在すら知らなかった「オーリキュラ」という名の植物がわたしのもとへやって来た。
初めてその名を知ったのは、わたしが師匠とあがめるたまこさんのHP「Small
Garden」(※1)で、英国製のトールペイントの壁掛け時計が紹介されたときだった。
黒い花を愛し、大正ロマンに心惹かれるたまこさんとは、何かと趣味嗜好が似ているのはわかっていたので、その人が「かわいい」と憧れているオーリキュラとは、一体どんなものなのだろう?と思った。そして・・、思ったことは思ったが、すぐ忘れていた。あきっぽく、忘れやすい、それがわたしである。
それから、一月ほど過ぎた頃、わたしは、やはり黒い花を愛する佳恵さんのHP「Welcome
to Yosie's veranda」(※2)を散策していた。そして、思わず「ウォ〜!かわいい〜〜」と声を出してしまった。「ん?オーリキュラ・・??なんか聞き覚えが〜、あっ、コ、コレが!!」
微妙な色合いが大好きな「色フェチ」のわたしには、その画像は衝撃的だった。神秘的に輝くペールトーンの花々、そのどれもがわたしを魅惑した。
「欲しい!!!!!」という心の叫びを押さえきれず、近辺の園芸店をあちこちあたってみたが「はて、オーリキュラ?聞いたことがないです。」と言われ、「やはり幻の花だわ。欲しいったら欲しい〜〜、キィーッ!。」とますますわたしの欲望はエスカレートしていったのだった。
そんなわたしの燃えたぎる思いを知ってか知らずか、たまこさんがオーリキュラのピンクッションをくださった。
たまこさんが、お友達に差し上げたというお手製のピンクッションがとっても素敵だったので、欲深いわたしは「ピンクッション欲しい〜!」とだけお願いしておいた。表現はつつましやかだが、要するに‘たかり‘である。そんなずうずうしいわたしに選んでくださった模様が「オーリキュラ」と「マンネングサのイメージの図案(裏)」だったのだ。
間もなく届けられたピンクッションのオーリキュラのかわいさにわたしは大感激し、「本物がなくても、しばらくはこのピンクッションで生きていけそう」とウキウキした気分で毎日を過ごしていた。
人間、無欲になるということは大切なことである。ギラギラした思いをようやく断ち切ったわたしは、それからわずか一週間後、何気なく立ち寄ったホームセンターでオーリキュラの苗に出会った。名札には「厚葉桜草」と記されていたが、写真はたまこさんにいただいたピンクッションのオーリキュラにそっくりだった。(実際の色は、咲いてみるまでわからないらしい。)
先の佳恵さんが「この方の影響でオーリキュラに目覚めた」という大家 novaraさん(※3)(やはり黒めで会会員)にお伺いしたところ、数多いオーリキュラの中でも強健な種類であるとのことが判明。おおざっぱなわたしにはぴったりである。
「人生に何ひとつ偶然はない」というけれど、その色の豊富さがウリでもあるオーリキュラの中で、わたしのもとにやって来たオーリキュラたちは(ピンクッションの柄と名札の写真)全く同じ色合いである。
何か因縁めいていて、神秘の花オーリキュラにふさわしい出会いであった。
この一件で気がついたこと
・無欲が大切
・田舎の園芸店の店長が知らない植物の種類を
知ってしまっている自分(デヘ・・)
そして、
・もう普通の植物では飽き足らなくなりつつある自分
わたしは、「園芸」という先の見えないジャングルの中の道を、また一歩奥へ進んでしまったようである。自分でもちょっと、こわい・・。
※1 たまこさんのHP 「Snall
Garden」
オーリキュラの壁掛時計はTOP頁(ティールーム&あれこれインテリア)→(壁に掛けるインテリア)から
※2 佳江さんのHP 「Welcome
to Yosie's veranda」
オーリキュラの頁はTOP頁(auriculas)から
※3 novara
さんのHP 「empty garden」
オーリキュラの頁はTOP頁(spring)→(プリムラ)から