「植えたけりゃ勝手に植えれば!?」‥‥おっしゃるとおり。
しかし、共同庭主のダーリンは「ありふれた風景を嫌う」男である。確かに、ガーデニングを趣味としている家のほぼ90%(ひこうおに調べ=勘)が、夏に向けてアサガオを植えている。彼の中では「みんながやっている=つまらない」の公式が確立されているので、自分ちの庭にアサガオを持ち込むなんてモッテノホカなのだ。
わたしは「日本の夏。金鳥の夏。」というフレーズをまず投げかけ(彼は蚊取り線香の匂いに夏の郷愁を感じるらしいので)、続けて「風鈴、朝顔、かき氷‥」などと夏の風物詩をあげ連ねる。彼の日本人としての感性に訴えかけてみる作戦だ。
が、彼は「金鳥」という言葉のみに反応し、石川さゆりが歌う金鳥のCMソングを熱唱するだけで、いっこうにアサガオに対する認識を改める気配は感じられない。
彼曰く「この家が焼板仕上げの純日本家屋ならアサガオも似合うだろう」。
う〜む、そうなのだ。ウチは一見輸入住宅風の外観を持つ家なのであった・・。
しかたなく、「なんとかなるだろう」というB型的展望の下、わたしは前から一度植えてみたかった曜白アサガオの種を播いた。花も小ぶりだし、白の縁取りが涼しげで「かわいい〜」と思って買っておいたのだ。しばらくすると、ハート形の双葉、続いて本葉も2〜3枚出てきた。そろそろ定植の時期である。
ダーリンは「コイツ、こんなもん植えやがって〜!」などとは言わないまでも「ケッ。アサガオか‥」ぐらいは言うだろう。その程度の反撃なら、「植えてしまえばこっちのもの」だが、のんびり屋に見えて、実はちょっとした負けず嫌いなところもあったりするわたしは、「ま、これなら植えてもええわ」みたいなことを、ど〜しても彼に言わせたかった。
お金をかけずにしゃれた感じにしよう、と5号の素焼き鉢とひゃっきんの植木鉢スタンド(6号用)を購入。スタンドが大きいので針金で細工するよう敵に依頼したところ、ヤツはそのでき映えに満足げな表情である。すかさず、それらに苗を植えつけずらりと並べて見せる。
「おお、かわいい、かわいい。これなら置いちゃってもええわ(←彼の出身地、姫路市の方言。置いてあげてもいいよ、の意)」
かくして「日本の夏」が我が家にもやって来たのだ。 へへん。ちょろい、ちょろい。
というわけで、このアサガオを石川さゆりに捧ぐ…ていうのはどう?。
「その後のアサガオ」へつづく・・・